AI はなぜ入口の前で迷い続けたのか──AIKernel.Doom が示した「認知と統治」の分岐点
2026年6月16日に公開した AIKernel.Doom 初期プロトタイプで発生した、入口前で AI が迷い続ける問題を振り返ります。問題は視覚認識ではなく、Weak Gap、ランドマーク、足元圧力をどう裁定するかという Governance Layer にありました。Ingress Governance、CTG と簡易三評議会ゲートの違い、CTG 接続用詳細 HUD、認知から統治への転換点を整理します。
公開日: 2026年6月20日 著者: 拓也 (@TkySoftware) カテゴリ: AI Infrastructure, Local AI, WASM, WebGPU, Governance, Developer Experience
AI は世界を見ていた。
しかし、世界をどう判断するかは別問題だった。
2026年6月16日に公開した AIKernel.Doom の初期プロトタイプでは、WASM 版 DOOM と Bonsai-1.7B を組み合わせた、完全ローカルの AutoPlay 実験環境を公開しました。
WASM。 WebGPU。 Bonsai-1.7B。 GPU resident な視覚パス。 zero-copy。 CPU fallback。 HUD overlay。
Day 2 のテーマは、AIKernel に 身体 を与えることでした。
その後、実装はさらに進みました。Day 3 では意思決定行動パイプラインを整理し、Day 4 では CTG ROM と三値評議会、Day 5 では Bonsai + CTG + HUD + Codex Debug の統合実装まで進みました。
そして今日、Day 6 として書きたいのは、少し地味ですが、かなり重要な話です。
AI はなぜ入口の前で迷い続けたのか。
この問題は、単なるデバッグログではありませんでした。
AIKernel が、Perception Layer から Governance Layer へ進むための分岐点でした。
1. 入口問題:AI は見えていたのに、入れなかった
初期プロトタイプの視覚認識は、決して何も見えていなかったわけではありません。
AI は、かなり多くのものを捉えていました。
- 壁を認識できる。
- 通路候補、つまり Gap を検出できる。
- ランドマークを追跡できる。
- ルート候補を評価できる。
- 9x9 patch 上で空間の粗い構造を読める。
- HUD の Health や状態値も取得できる。
少なくとも、「世界が見えていない」わけではありませんでした。
しかし、実際に AutoPlay させると、奇妙な問題が起きました。
AI が入口の前で迷い続けるのです。
入口へ近づく。 壁に接触する。 右旋回を続ける。 入口に入るのではなく、南側へ回り込む。 また似たランドマークを観測する。 また似た通路候補を評価する。 そして同じ判断へ戻る。
画面を見る限り、AI は何かを見ています。
ログを見ても、センサー値は出ています。ランドマークも出ています。Gap 候補も出ています。
それでも、入口へ入れない。
この時点で、問題の見え方が変わりました。
これは認識の失敗ではなく、認識された情報をどう裁定するかの失敗ではないか。
2. 最初の仮説は「視覚認識が弱い」だった
最初は、かなり素直に考えました。
視覚認識の精度が足りないのではないか。 ランドマーク抽出が弱いのではないか。 9x9 patch の量子化が粗すぎるのではないか。 センサー情報が不足しているのではないか。 ドアや通路の特徴量が足りないのではないか。
たしかに、改善できる余地はありました。
しかし、ログを追っていくと、どれも本質ではありませんでした。
AI は入口を認識していました。
問題は、入口を見ていないことではありません。
認識しているのに、入れないこと でした。
これはかなり厄介です。
見えていないなら、センサーを増やせばよい。 認識できていないなら、特徴量を足せばよい。 モデルが弱いなら、モデルを変えればよい。
しかし、見えているのに入れない場合、問題は別の場所にあります。
AI が見たものを、どう判断し、どの行動へ変換するか。
つまり、Governance Layer の問題です。
3. 南へ逃げ続ける AI
特に顕著だったのが、最初の通路入口付近でした。
AI は入口へ近づきます。
そこまでは正しい。
しかし、壁に接触した瞬間、挙動が崩れます。
右旋回が残る。 前進が弱まる。 入口方向ではなく南側へ流れる。 また通路候補を探し始める。 同じランドマークを見て、同じように評価する。 そして、また入口の前で迷う。
この挙動は、一見すると「方向制御が下手」に見えます。
しかし、もう少し深く見ると、そう単純ではありませんでした。
AI は、存在しない経路を完全に幻視していたわけではありません。
そこには弱い Gap がありました。 ランドマークもありました。 足元の進行可能性もゼロではありませんでした。
つまり、個々の証拠は完全な誤りではなかった。
しかし、それらを総合した結果が間違っていたのです。
4. Weak Gap 問題
この問題を、私は Weak Gap 問題 と呼んでいます。
AI は次のような弱い証拠を同時に見ていました。
- 弱い通路候補。
- 曖昧なランドマーク。
- 足元圧力情報。
- 壁沿いのわずかな空間変化。
- 旋回中に一瞬だけ見える開口部らしきパターン。
それぞれは完全な誤検知ではありません。
Gap はあるように見える。 ランドマークもある。 進行可能性もゼロではない。 回り込めば抜けられるかもしれない。
このように、弱い証拠が少しずつ積み重なると、AI は「まだ前進すべき」「まだ探索を続けるべき」と判断してしまいます。
しかし実際には、その判断がループを作っていました。
存在しない経路を信じ続ける。 入口ではなく外周へ流れる。 同じ地形を別の候補として見直す。 また同じ判断へ戻る。
この現象は、Perception Layer だけを強化しても解けません。
むしろ、センサーを増やすほど、弱い証拠も増えます。
問題は、弱い証拠をどう扱うかです。
5. 問題は知覚ではなく、統治だった
ここで重要な発見がありました。
この問題を解決するために、私は新しいセンサーを追加していません。
新しい大規模モデルも導入していません。 追加学習も行っていません。 視覚認識器の根本的な精度を変えたわけでもありません。
行ったのは、意思決定ルールの再構築です。
つまり、問題は Perception Layer ではなく、Governance Layer にありました。
AI が何を見たか。 それは重要です。
しかし、見たものをどう扱うかは、さらに重要です。
弱い Gap を信じるのか。 行き止まりと見るのか。 一度引くのか。 方位を取り直すのか。 入口方向へ再収束するのか。 それとも、固定ルートを捨てるのか。
この判断を担う層が必要でした。
それが Ingress Governance です。
6. Ingress Governance の誕生
入口付近での迷走を止めるために、いくつかの入口再取得ガバナンスを導入しました。
これは新しい知覚ではありません。
知覚された情報をどう裁定するかという、統治ルールです。
Dead-End Trim
行き止まりと判定された場合、前進を続けるのではなく、入口方向へ補正します。
重要なのは、単に「止まる」ことではありません。
行き止まりを検出したら、どの方向へ戻すべきかを決めることです。
Weak Gap Pivot
弱い Gap を信じ続けることを防ぎます。
Gap が見えているからといって、必ずしもそこが進行経路とは限りません。
証拠が弱い場合、前進ではなく pivot、つまり向きの再評価へ移ります。
Corner Release
局所的な角や壁沿いでループした場合、そこから強制的に離脱します。
壁に沿って少しずつ動き続ける挙動は、一見すると探索に見えます。
しかし、進捗がないなら、それは探索ではなく局所ループです。
Heading Reacquire
方位情報を再取得します。
入口問題では、進行方向そのものが微妙にズレたまま、次の判断が積み重なることがありました。
その場合、まず向きの基準を取り直す必要があります。
Ingress Trim
入口方向への再収束を行います。
弱い Gap や壁沿い探索へ流れすぎた場合、目標方向を入口へ戻します。
これにより、AI は「なんとなく開いている場所」ではなく、「本来入るべき入口」へ戻れるようになります。
7. AI を賢くしたのではない
今回の改修で最も重要なのは、AI が賢くなったわけではないことです。
モデルサイズは変わっていません。
Bonsai-1.7B は Bonsai-1.7B のままです。
追加学習もしていません。 巨大な VLM に差し替えたわけでもありません。 センサーを大量に追加したわけでもありません。
変わったのは、AI の行動を統治するルールです。
その結果、入口を認識していながら入れなかった AI が、正しい通路へ収束できるようになりました。
この事実はかなり大きいです。
AI 開発では、問題が起きるとすぐに「モデルを大きくしよう」「認識器を強くしよう」と考えがちです。
もちろん、それが必要な場面もあります。
しかし今回の問題は違いました。
必要だったのは、知覚能力の強化ではありませんでした。
判断を裁定する制度 でした。
8. CTG と簡易三評議会ゲートを分けて考える
ここで、一度だけ用語を正確に整理しておきます。
AIKernel の論文・正典でいう CTG は、Canonical Trajectory Governance の略です。つまり、AI の推論や行動を単発の判断ではなく、時間方向に連なる Trajectory(軌道) として観測し、その軌道が目的・安全・安定性から見て実行可能かを裁定するモデルです。
一方で、現在の AIKernel.Doom デモで動いているものは、CTG の完全実装そのものではありません。
Doom デモでは、リアルタイム性を優先し、Topos の三ベクトル合成と Logos / Ethos / Pathos の三評議会ゲートを用いた 簡易ガバナンス計算 として実装しています。これは、CTG の設計思想を実行時 HUD と AutoPlay ループへ接続するための軽量版です。
言い換えると、関係はこうなります。
Canonical Trajectory Governance(CTG)
= 正式な軌道ガバナンス理論
= 軌道観測、収束性、安定性、リスク、Replay を含む
Doom Demo の Triadic Council Gateway
= CTG に向かうための簡易実装
= Topos ベクトル合成 + 三評議会ゲート + Fail-Closed
= まだ完全な軌道計算までは行わない
この区別は意図的です。
Doom デモは、まず「AI が世界を見て、意味づけし、判断し、入力へ変換する」閉ループをリアルタイムに成立させるための実験環境です。完全な CTG 実装に含まれる軌道計算、収束スコア、長期 Replay 解析、Semantic Trajectory の評価は、より上位のガバナンス層として段階的に統合していきます。
そのため、この記事で扱う HUD は厳密には CTG 接続用の詳細 HUD、あるいは Doom デモ向けの簡易三評議会 HUD です。
9. CTG 接続用詳細 HUD:認知と統治を分けて見る
この反省から、HUD も大きく変わりました。
TELOS / OBJECTIVE / Sub-chips だけでは、AI がなぜ入口の前で迷うのかを十分に説明できません。
そこで、現在の開発版では CTG 接続用詳細 HUD を追加し、AISTHESIS / NOESIS / KRISIS / KINESIS の各層を画面上に表示しています。
図 1: 開発中の CTG 接続用詳細 HUD。AISTHESIS には入力センサーとルート、NOESIS には意味ラベルとベクトル、KRISIS には Topos と簡易三評議会ゲート審査、KINESIS には実際に流す Action と Zoe の安全状態が表示されている。入口問題では、AI が見えていないのか、意味づけが揺れているのか、判断が安全側へ倒れているのか、あるいは入力タイミングが悪いのかを、この層分けによって切り分けられるようになった。
この HUD で重要なのは、認知と統治を同じ場所に押し込んでいないことです。
AISTHESIS は、AI が何を感じたかを示します。
NOESIS は、その感覚をどの意味として読んだかを示します。
KRISIS は、どの意図やベクトルが支配的になり、どの判断へ傾いたかを示します。
KINESIS は、最終的にどの仮想入力が流れたかを示します。
これにより、入口問題のような失敗を、単なる「AI が迷った」ではなく、層ごとに読めるようになりました。
10. AISTHESIS:見えていたか
まず見るべきは AISTHESIS です。
ここでは、視覚、空間、移動、音響、ルート、yaw、FirstDoor evidence などを確認します。
入口問題で重要なのは、AISTHESIS が完全に空ではなかったことです。
視覚スコアは出ている。 空間スコアも出ている。 Gap 候補も出ている。 FirstDoor の evidence もゼロではない。
つまり、AI は世界から何も受け取っていないわけではありませんでした。
しかし、ready=no のような状態が示すように、実行許可に足るほど確定しているわけでもない。
ここが難しいところです。
見えている。 しかし、確定していない。
この曖昧さを、後段の統治がどう扱うかが問題でした。
11. NOESIS:どう意味づけたか
次に見るのは NOESIS です。
NOESIS は、AISTHESIS で得た入力を意味へ変換します。
たとえば HUD では、次のようなラベルが出ます。
Door Approach
Gap Right
Ingress Release
Turn Stall
Cruise
Gap Visible
このようなラベル列は、AIKernel が現在の空間をどう読んでいるかを示します。
Gap Visible が出ているなら、抜け道らしき構造が見えている。
Door Approach が出ているなら、ドア候補へ向かっている。
Turn Stall が出ているなら、向き合わせや旋回に詰まりがある。
入口問題では、この NOESIS の層で複数の意味が同時に立ち上がっていました。
Gap は見える。 Door Approach も出る。 しかし Turn Stall も出る。 StuckVector も強い。
つまり、世界の意味づけが一枚岩ではなかった。
この状態で単純に「Gap が見えたから前進」とすると、AI は弱い証拠に引っ張られてしまいます。
12. KRISIS:どの判断を採用したか
KRISIS は、今回の問題の中心です。
ここでは、Topos と CTG が動きます。
最新の整理では、Topos と CTG は次の二層です。
Topos = 意図ベクトルの合成
CTG = 行動許可の審査
Logos は局所目標の合理性を見ます。
Pathos は danger / stuck / stall-wall-follow など、文脈的な圧力を見ます。
Ethos は TELOS や SemanticMemory に基づく大局的な安全・規範を見ます。
Topos は、それらを合成し、支配的な意図を作ります。
CTG は、その意図から生まれた Proposal を実行してよいかを審査します。
入口問題では、ここで重要な現象が起きていました。
弱い Gap が Logos 側では前進理由になりうる。
しかし Pathos 側では stuck や turn-stall が強く出る。
Ethos 側では、本来の TELOS から外れて南へ流れすぎている可能性が出る。
このとき、AIKernel は単純に前進を続けるべきではありません。
必要なのは、入口への再収束です。
つまり、KRISIS は「前進すべきか」だけではなく、「今の前進は本来の入口へ向かっているのか」を裁定しなければならない。
Ingress Governance は、この KRISIS の判断を支えるためのルール群でした。
13. KINESIS:どの入力が実際に流れたか
KINESIS は、最終的な仮想入力の層です。
たとえば HUD では、次のような表示が出ます。
Action: forward(2)/right(10)
入口問題では、この層も重要でした。
認識は合っている。 判断も大きくは外れていない。 しかし、入力が右旋回へ寄りすぎる。 forward latch が残る。 Use や再照準のタイミングへ戻れない。 結果として、入口へ入るのではなく外周へ流れる。
このような問題は、KINESIS を見なければ分かりません。
行動結果だけを見ると「AI が迷った」に見えます。
しかし KINESIS で入力を見れば、右旋回が強すぎるのか、前進が残りすぎているのか、再取得のタイミングが来ていないのかを切り分けられます。
ここでも重要なのは、AIKernel が失敗をブラックボックス化しないことです。
14. Unknown を成功として扱わない
入口問題は、Fail-Closed の重要性も示していました。
AI は、曖昧な世界を見ています。
Gap らしきものがある。 壁らしきものもある。 ドア候補もある。 足元は進めそうに見える。 しかし、どれも決定的ではない。
この状態を「成功」として扱ってしまうと、AI は存在しない経路へ進み続けます。
だから AIKernel では、Unknown を成功として扱いません。
Unknown
↓
Abstain
↓
承認不足
↓
Deny / Recovery / Re-probe
この流れは、抽象的な安全思想ではありません。
実走で必要になった設計です。
入口の前で迷った AI を直すには、「見えているように見えるもの」を安易に通さない必要がありました。
Weak Gap を Weak Gap として扱う。
十分な証拠がないなら前進を継続しない。
進捗がないなら、Heading Reacquire や Ingress Trim へ戻す。
これが、Governance First の具体的な意味です。
15. Governance First
AIKernel が目指しているのは、より巨大なモデルを作ることではありません。
もちろん、大きなモデルは強力です。
しかし、巨大なモデルにすべてを委ねる設計は、AIKernel の思想とは違います。
AIKernel が重視しているのは、AI の行動を OS 的に統治することです。
モデルは提案する。 認知層は世界を読む。 Topos は意図を合成する。 CTG は実行許可を審査する。 Kairos はタイミングを決める。 Kinesis は入力を出す。 Chronos は軌道を記録する。
この分離があるから、問題が起きたときに小さく直せます。
今回の通路探索問題を解決したのは、モデルの巨大化ではありません。
認識器の魔改造でもありません。
ガバナンスでした。
Governance First。
これが、入口問題から得た最も大きな教訓です。
16. CTG への接続:Trajectory と Triadic Gate
この経験は、正式な Canonical Trajectory Governance(CTG) へと自然につながります。
ただし、ここでもう一度、Doom デモの実装段階を正確に分けておきます。
論文上の CTG は、推論や行動を軌道として扱います。単発の Approve / Deny だけを見るのではなく、観測された状態、意味方向、安定性、リスク、反復、目的からの drift、Replay 可能な trace を含めて、軌道全体を評価するモデルです。
一方、現在の AIKernel.Doom で動いている入口ガバナンスは、そこへ向かうための軽量な実装です。
現在の Doom Demo
- AISTHESIS / NOESIS / KRISIS / KINESIS の HUD 可視化
- Topos による Logos / Ethos / Pathos ベクトル合成
- 三評議会ゲートによる簡易 Allow / Deny
- Unknown / Abstain の Fail-Closed
- Ingress Governance による入口再取得
正式 CTG
- Semantic Trajectory の観測
- Convergence Score
- Directional Drift
- Risk / Repetition / Root Goal Drift
- ReplayLog による決定論的監査
- 軌道全体に対する Fail-Closed Governance
つまり、Doom デモは CTG の全機能を実装したものではありません。
Doom デモが示しているのは、CTG が必要になる直前の層です。
AI が見た情報をどう意味づけるか。 複数の意図ベクトルをどう合成するか。 弱い証拠をどう扱うか。 Unknown を成功として扱わないために、どこで止めるか。 行動へ流す前に、どのゲートを通すか。
この実走経験があったからこそ、CTG を単なる抽象理論ではなく、実行環境に接続できるガバナンスモデルとして見ることができました。
Logos。 Ethos。 Pathos。
この三評議会は、正式 CTG の中核にある Three-Council Gateway です。
ただし、三評議会そのものを CTG と呼ぶのではありません。
三評議会は CTG の中に含まれるゲート構造であり、CTG はその上位にある軌道ガバナンスモデルです。
AI は世界を見ることができます。
しかし、それだけでは十分ではありません。
重要なのは、見た世界に対してどの判断を下すかです。
入口問題は、そのことを非常に分かりやすく示しました。
「見えている」ことと、「正しく動ける」ことは違う。
その間に必要なのが、三評議会ゲートであり、最終的には CTG です。
17. 認知から統治へ
AIKernel.Doom の入口問題は、単なるデモの不具合ではありませんでした。
それは、AIKernel の設計が次の段階へ進むための、かなり重要なシグナルでした。
Perception Layer は必要です。
視覚、聴覚、空間認知、HUD overlay。 これらがなければ、AI は世界を読めません。
しかし、Perception だけでは足りません。
AI が世界を読んだあと、その意味をどう裁定するか。
弱い証拠をどう扱うか。 曖昧な Gap をどう扱うか。 行き止まりをどう検出するか。 局所ループをどう断つか。 入口方向へどう再収束するか。
そこに Governance Layer が必要です。
AIKernel.Doom は、この事実をかなり生々しく見せてくれました。
AI は世界を見ていた。
しかし、世界をどう判断するかは別問題だった。
そして AIKernel は、そこへ進み始めています。
結語:入口の前で迷った AI が教えてくれたこと
入口の前で迷い続ける AI は、一見すると失敗に見えます。
しかし、開発者にとっては非常に価値のある失敗でした。
なぜなら、その失敗が、AIKernel の設計境界を明確にしたからです。
問題は、見えていないことではありませんでした。
問題は、見えたものをどう裁定するかでした。
AI を賢くしたのではない。 AI の行動を統治した。
モデルを大きくしたのではない。 意思決定ルールを整えた。
センサーを増やしたのではない。 弱い証拠をどう扱うかを決めた。
その結果、AI は入口へ戻り、通路へ収束できるようになりました。
これは、AIKernel にとって非常に重要な一歩です。
AI は世界を見ることができる。
しかし、AIKernel が目指しているのは、その先です。
AI が見た世界を、OS 的に審査し、統治し、説明可能な行動へ変換すること。
AIKernel.Doom の入口問題は、認知から統治への転換点でした。
Day 6。 AIKernel は、入口の前で迷った AI から、Governance First の重要性を学びました。
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